「何をやったら儲かるか?」「どうしたら稼げるか?」「どんな商売が上手く行くか?」
起業や独立を考えている人が、最初に考えることは、この3つだと思います。
実は、この考え方でビジネスを始めると、殆どの場合は上手く行きません。
成功する為に、独立起業で最初に考えるべき事はたった一つです。
「いかにして、ユーザー(顧客)の課題を見つけて、解決方法を提供し、ユーザーの望む未来をもたらすことができるか」
これはどのようなビジネスでも同じです。
「ユーザーの課題を見つける→解決方法を提供する→ユーザーの望む未来をもたらす」という視点からは、ビジネスをスタートアップとスモールの二つに分けるられます。
- スタートアップとスモールビジネス
- 市場環境
- スケール
- スタートアップの組織
- スタートアップ初期でやってはいけないこ
- オフィスの場所や体裁に拘ってはいけない(チーム教訓)
- 詳細なビジネスプランを作ってはいけない (経営企画・財務部門出身者教訓)
- 正確な資金計画(フィナンシャル・プロジェクション)を用意してはいけない(経営企画・財務部門出身者教訓)
- 緻密な報告書をつくってはいけない (マネージャー経験者・管理部出身者教訓)
- 程よく好かれるプロダクトを大衆に向けて作ってはいけない(チーム教訓)
- 詳細な仕様書をもとに開発してはいけない(チーム教訓)
- 自分の仕事範囲を限定したがる人をチームに入れてはいけない(システムエンジニア教訓)
- 最初に考えたビジネスモデルに執着してはいけない(成功体験者への教訓)
- 競合を意識しすぎる(チーム教訓)
- 差別化を意識しすぎる(マーケティング教訓)
- あったら嬉しい機能を追加してはいけない(マーケティング教訓)
- 最初からプロダクトデザインやユーザビリティの細部にこだわってはいけない(デザイナー教訓)
- 最初からシステムの自動化・最適化を行ってはいけない(エンジニア教訓)
- ビジネスモデルができ上る前に積極的に人を雇ってはいけない(チーム教訓)
- 直接関係の無いネットワークイベントや飲み会に参加してはいけない(チーム教訓)
- 経歴立派・社会的地位高い人を営業責任者や事業開発担当者を雇用してはいけない(チーム教訓)
- ビジネスモデルの検証が終わる前に業務提携してはいけない(チーム教訓)
- マーケティングやPRにフォーカスしてはいけない(チーム教訓)
- 仕事の役割を厳密に設けてはいけない(チーム教訓)
- NDA(機密保持契約)を交わしてはいけない(チーム教訓)
- 受託開発や業務委託を必要以上に受ける(チーム教訓)
- 業界の専門家からのアドバイスに頼り切ってはいけない(チーム教訓)
- ベンチャーキャピタル(VC)にアプローチしてはいけない(チーム教訓)
- ユーザーに価値をもたらさない仕事をしてはいけない(チーム教訓)
- 体裁は気にしてはいけない(チーム教訓)
- スタートアップで忘れる去るべき常識
- まとめ
スタートアップとスモールビジネス
アイデア
スタートアップは、ユーザーが本当に痛みを感じている真の課題を見つけ出して、ユニークな解決方法を提供するビジネスです。
スタートアップは、市場の存在が認められていないアイデアでビジネスを創出することです。
スモールビジネスは、既に周知となっている課題の解決方法を、少しづつ改善改良して、少し良くなった解決方法を提供するビジネスです。
スモールビジネスは、既に市場の存在が認められているアイデアのビジネスです。
成長パターン(キャッシュフローカーブ)
一番違いがわかりやすいのは、キャッシュフローモデルで分類です。
スタートアップのキャッシュフロー
最初は保有資金を使うばかりなので、キャッシュフローはマイナスとなり、その後、一気に成長するJカーブです。
成功すると巨額のリターンを短期間で生みだすことになります。
スモールビジネスのキャッシュフロー
営業社員を増やしたり、製造者を増やしたり、商品ラインアップを増やしたり、店舗を増やしたり、等々で拡大していきます。
着実に利益を出しながら徐々に成長するイメージです。
それなりのリターンを着実に得ることができます。
市場環境
スタートアップの市場環境
市場の存在が確認・証明されていないので、存在自体の確認から始まります。
市場の存在が不明なのでリスクが高いのです。
不確定な要素が多い環境の中で競争するので、精神力も重要です。
事業を始めるタイミングが最も成功を左右する最も重要な要素だと言われています。
何故、今、事業を始めるのか、挑戦するのか、という問いが常にあります。
スモールビジネスの市場環境
既に市場の存在が証明されている、変化の少ない市場環境です。
例えば、カフェやマンション販売や洋服の販売などです。
時代ごとにトレンドはあるにせよ、10年前も今も10年後も、それほど変化は無いと思います。
スケール
スタートアップのスケール
市場の存在自体が不明なので、少人数で始まります。
PMF(プロダクトマーケットフィット)を超えると一気に多くのユーザーに届けることができます。
スタートアップは、「一気にスケールすることを背負う」と言えます。
スモールビジネスのスケール
少人数から始めて少しづつ増やしていきます。
しかし、事業の採算性(ユニットエコノミクス)を高めることが重視されるので、採算性さえ達成できていれば、生き残りをかけた事業拡張(スケール)を行う必要はありません。
採算性がとれる、少人数のままで運用できます。
ステークホルダー(資金提供者)
スタートアップのステークホルダー
スタートアップに資金提供するのは、ベンチャーキャピタル(VC)、エンジェル投資家(個人投資家)、企業の投資部門(CVC)、です。
ベンチャーキャピタルは、出資額に応じたキャピタルゲイン(株式売却益)を求めるので、一気にスケールする可能性があるスタートアップを対象に出資します。
スモールビジネスのステークホルダー
スモールビジネスに資金提供するのは、自己資金または、銀行や信用金庫などの金融機関です。
金融機関はインカムゲイン(利息)を求めます。
従って、過去の実績や業績を基に、堅実な収益予測を立てられるビジネスモデルに貸し付けを行います。
インセンティブ
スタートアップのインセンティブ
スタートアップに参加する人へのインセンティブは、IPO(株式公開)やバイアウトやストックオプション等々、によるキャピタルゲインが主なものとなります。
事業が上手く行かないリスクも大きいので、安定とは程遠いと言えます。
スモールビジネスのインセンティブ
スモールビジネスは市場が存在していることが明らかで、事業が既に固まっており、ユニットエコノミクス(事業採算性)も取れています。
従って、安定的に出せる給料がインセンティブとなります。
対応市場範囲
スタートアップの対応市場範囲
スタートアップには対応できる市場範囲に制限がありません。
フォード(自動車)、パソコン(DELL)、スマホ(アップル)、WEBサービス(グーグル)、フェイスブック(SNS)、等々を見ると、確かに市場範囲に制限はありません。
労働力の調達やサービスの消費が、あらゆる国や地域で行われます。
スモールビジネスの対応市場範囲
スモールビジネスには対応できる市場範囲に制限があります。
飲食店、美容室、カフェ、等々はスタートアップではありません。
フランチャイズモデルを目標にした場合でも、プロダクト自体は限定商圏で消費されるので、スモールビジネスです。
地理的制約が強いからです。
従って、労働力の調達・サービスの消費が行われる国や地域は限定的だと言えます。
イノベーションの形
スタートアップのもたらすイノベーション
スタートアップは、ライフスタイルを一気に変えるようなイノベーションをもたらします。
スティーブジョブスは、初代iphoneのプレゼンで「私は、今ここで、電話を再定義します」と言いました。
iphoneの登場によって、生活がどう変わったかは、世界中の人が体験しています。
天動説が地動説に代わってしまう様なレベルで、これまでの常識が全く変わってしまうと言えます。
既存市場を再定義するような破壊的イノベーションだと言われます。
スモールビジネスのもたらすイノベーション
スモールビジネスは、既に存在する市場において、着実に改善改良を重ねて少しづつ積み上げていくイノベーションです。
PMFを達成した状態から始まるので、いかに効率よく経営する(事業採算性を高める)という方が重要です。
事業採算性を高めるためには、競争優位性を高めなければなりません。プロダクトをどうやってお客様に届けるか、広告はどのようにしたらいいか、価格はいくらにするか、品ぞろえはどうするか、ということも需要になります。
スタートアップとスモールビジネスの違いは、イノベーションを一気にやるかやらないかであると言えます。
スモールビジネスは、既存市場をベースにした持続的イノベーションをすることだと言われます。
スタートアップの組織
スタートアップの組織は0を1にするための組織です。
スモールビジネスの組織は、1を10にするための組織です。
スモールビジネスの組織は、一般企業の組織と同じなので、ここでは特筆しません。
ここからはスタートアップについて書きます。
スタートアップは一時的な組織
スタートアップは0から1を生み出すための組織です。
スタートアップは拡張性と再現性のある利益を生み出すビジネスモデルを探索するための、一時的な組織です。
スタートアップ時期が終わったら、スモールビジネスと同じような一般的な組織形態にならざるを得ません。
スタートアップがPMFを達成して、拡張するステージに入ったところからは、新たなビジネスを生むことにより事業採算性を追求する「一般企業」に変わることで、事業の継続をしていきます。
スモールビジネスと同じような組織になります。
スタートアップは急成長するようにデザインする
急成長するようにデザインされていなければ、キャピタルゲインを求めるベンチャーキャピタルからは資金調達ができません。
PMFを達成して、ユニットエコノミクス(顧客一人当たりの事業採算性)を健全化して、大企業が参入してくる前に一気に拡張(スケール)して、市場を広げて確保することを覚悟して取り組む必要があります。
スタートアップが変化して一般企業の組織となる
スタートアップが上手く行き、事業がスケールして一般企業になります。
このタイミングで経営者に必要なのは、事業を拡大する能力や組織全体のモチベーションを保つことです。
経営者としての役割はスタートアップとは全く異なります。
スタートアップから一般企業の様な組織になるときに経営者に必要なのは、1を100にする能力です。
スタートアップ初期でやってはいけないこ
スタートアップ初期では、ユーザーの課題とアイデアを磨き込むことが最重要です。
初期において避けるべきことを以下に書きます。
オフィスの場所や体裁に拘ってはいけない(チーム教訓)
PMF(プロダクトマネジメントフィット)を達成する前はオフィスが何処にあろうと関係ありません。
体裁にフォーカスする必要はありません。
詳細なビジネスプランを作ってはいけない (経営企画・財務部門出身者教訓)
スプリントとピボットを前提としない詳細なビジネスプランやビジネスモデルを作る意味はありません。
スタートアップでは、スプリント(ビジネスの継続的な改善 )やピボット(サービス内容や事業の方向性を転換すること)は毎日起こります。
変化を前提にするので、詳細に作りこめません。
詳細なビジネスプランは最大のリスクにつながる
更に悪い作用は「詳細なビジネスプランが正解だと勘違い」することです。
PMFの達成ではなくてビジネスプランの達成が正解だと、メンバーが思い込みます。
その結果、課題仮説や解決策仮説の検証をしなくなってしまいます。
課題仮説や解決策仮説をしないのは、スタートアップにとって最大のリスクと言えます。
厳密な予算と実績の管理をやってはいけない
厳密な予実管理にかける労力を割いてはいけません。
「ビジネスの継続的な改善」を超高速で繰り返す方が、はるかに有効です。
80点を取る労力と時間よりも、80点を100点にする労力と時間の方が大きいです。
80点を100点にするための労力と時間は最も重要なところに使います。
正確な資金計画(フィナンシャル・プロジェクション)を用意してはいけない(経営企画・財務部門出身者教訓)
PMFの達成前に正確な資金計画を作るのは無駄です。
絵に描いた餅です。
課題仮説や解決策仮説の検証をして、アイデアの磨き込みをしている段階では全く無意味です。
ビジネスの前提条件が見えていないので、そもそも作れないはずです。
※売上の見通しが立つ段階になって、投資を受ける(シリーズA、シリーズB)ためにはFPは重要です。
※PMF達成前はシード、その後シリーズA、シリーズBと呼ばれる、資金調達フェーズになります。
緻密な報告書をつくってはいけない (マネージャー経験者・管理部出身者教訓)
スタートアップにとって報告書による定型的・定期的な考察や報告は重要ではありません。
顧客インサイト (実は顧客が何を考えているのか )、潜在的課題発見、市場に隠されているアイデアのヒント(秘密)、を見つけてメンバーと共有することの方がはるかに重要です。
程よく好かれるプロダクトを大衆に向けて作ってはいけない(チーム教訓)
「程よく好かれるプロダクトを大衆に向けて作る」=「大手企業のビジネス」です。
これは、他社のプロダクトをベンチマークしながら少しづつ良いものを作っていくことだからです。
スタートアップ企業が大手企業と戦っても勝てません。
一部の人に熱愛される、熱狂的に好かれる、そんなプロダクトを作らなければなりません。
詳細な仕様書をもとに開発してはいけない(チーム教訓)
詳細な仕様書を作ってはいけません。
不要です。
スプリント(ビジネスの継続的な改善)をとにかく素早く回すことが重要です。
詳細仕様書を書くとスプリントの回転速度が落ちます。
「包括的なドキュメントよりも、動作するソフトウェア」です。
プロダクトを作り、顧客からフィードバックを貰う、そしてまた作り、ということが最優先です。
エンジニアも顧客との対話に参加するぐらいの姿勢でなければいけません。
自分の仕事範囲を限定したがる人をチームに入れてはいけない(システムエンジニア教訓)
スプリント(ビジネスの継続的な改善) と ピボット(サービス内容や事業の方向性を転換すること)の速度が落ちます。
失敗の原因になります。
自分自身を含めて、「指示されたことしかしない」「仕事の範囲を限定する」という人をチームに入れてはいけません。
最初に考えたビジネスモデルに執着してはいけない(成功体験者への教訓)
ビジネスモデルは、スプリント(ビジネスの継続的な改善) と ピボット(サービス内容や事業の方向性を転換すること)により頻繁に変える必要があります。
考えているビジネスモデルに執着すると、ユーザーから必要とされるプロダクトに、永遠にたどる付けなくなります。
競合を意識しすぎる(チーム教訓)
「競合がAをした、だから自分達もAをしよう」となってしまうのはよくありません。
これは、ユーザー課題仮説と解決策仮説を追求していることにはならず、他社を追随しているだけになってしまいます。
顧客インサイト(顧客の秘密)を見つけて、競合他社に対して優位になる事はできません。
他社の追随型ではビジネスに負けてしまいます。
競合他社を意識するのは悪くありませんが、追随するのは良くありません。
差別化を意識しすぎる(マーケティング教訓)
差別化は結果論であり、目的ではありません。
差別化を意識しすぎると「競合他社と差別化できるプロダクトを作ろう」となってしまいます。
これはユーザーからのフィードバックでない限り、プロダクトを作る側の理屈です。
差別化ではなく、いかに高いUX(ユーザーエクスペリエンス/ユーザー体験)を提供できるか、達成できるかを意識すべきです。
あったら嬉しい機能を追加してはいけない(マーケティング教訓)
「なくてはならない機能」の方がはるかに重要です。
ユーザーの課題を解決して、PMF(プロダクトマネジメントフィット)の達成は「なくてはならない機能」が実装されているか否かで決まります。
また、機能が多すぎると、どの機能がゆえにユーザーがプロダクトを使っているか判断できなくなります。
Nice haveではなく、Must haveです。
Must haveを徹底的に追及すべきです。
最初からプロダクトデザインやユーザビリティの細部にこだわってはいけない(デザイナー教訓)
デザインの完成度を上げるために、最初からプロダクトデザインやユーザビリティの細部にこだわるのは無駄です。
時間とお金の浪費です。
完成度は60%から80%で十分です。
細部の完成度を上げるための改善は、後でやることです。
最初からシステムの自動化・最適化を行ってはいけない(エンジニア教訓)
ユーザーの課題仮説や解決策仮説の検証のために、チーム本人達が学ぶ必要があります。
システムに学ばせると、課題仮説や解決策仮説の検証を本人達ができなくなります。
これでは前に進めません。
最初は手作業で、紙で、等々のアナログ的なプロセスで検証してからシステム開発をすべきです。
ビジネスモデルができ上る前に積極的に人を雇ってはいけない(チーム教訓)
PMF達成前はビジネスモデルが何回も変わる可能性があります。
つまり、必要なスキルを持ったメンバーは何回も変わるのです。
依って、ビジネスモデルができ上る前に積極的に人を雇ってはいけません。
社員10人程度で、全員が何でもやる、分け隔てなくやる、という考え方で仕事に取り組むべきです。
仕事を選ぶメンバーには出て行ってもらう方が良いです。
直接関係の無いネットワークイベントや飲み会に参加してはいけない(チーム教訓)
起業家がまず会いに行かなければならないのはユーザー(顧客)です。
次に、いっしょにスタートアップに参画してそうな仲間です。
他の起業家や経営者の話を聞いても、ほとんど意味がありません。
資金と時間が限られていることを考えれば、直接関係の無いネットワークイベントや飲み会に参加するのは無駄です。
経歴立派・社会的地位高い人を営業責任者や事業開発担当者を雇用してはいけない(チーム教訓)
チームの経験値補填やビジネス印象を良くするために、人を雇ってはいけません。
こういう人はプライドが高く、地位に見合うことしかやらないというタイプが多いです。
人件費も高いので、スタートアップにとってはリスクです。
スタートアップの成功に必要なのは、行動する人です。
報酬は低くてOK、若いメンバーと一緒に細かい雑務も自ら進んでやる、ありとあらゆる仕事をやる、そんな人を雇うべきです。
ビジネスモデルの検証が終わる前に業務提携してはいけない(チーム教訓)
PMFの達成前(ビジネスモデルの検証が終わる前)に業務提携をするというのは、おそらく、売上が欲しくてというのが一番の理由だと思います。
しかし、売上目的で業務提携をすると下請けになってしまいます。
この瞬間から、スタートアップではなくなります。
スタートアップはスケールするために自ら直接ユーザーにプロダクトを届けて、声を聴き、課題仮説や解決策仮説の検証を高速で回していかねばなりません。
スタートアップは、PMF達成後に事業の拡大拡張のために業務提携します。
マーケティングやPRにフォーカスしてはいけない(チーム教訓)
PMF達成前はプロダクトができ上っていません。
プロダクトができ上っていない段階でマーケティングやPRに予算と時間を投下するのは、美味しいいパンを出せないパン屋が集客するようなものです。
当然、無駄で浪費です。
スタートアップがやるべきことは、セールス(営業)というアプローチを通じて、ユーザー(顧客)と直接対話して、良評酷評を貰うことです。
ユーザーからのフィードバックを貰い、課題仮説と解決策仮説の磨き込みをして、プロダクトを改良していことです。
仕事の役割を厳密に設けてはいけない(チーム教訓)
スタートアップ創業メンバーは、全員が事業に関する全てのことに関わらないと絶対に上手く行きません。
エンジニアもユーザーとの直接コミュニケーションに参加しなければなりません。
セールス(営業・顧客開発・顧客開拓)もUX(ユーザーエクスペリエンス)を磨き込むために、システムを理解していなければなりません。
全員で、事業の全てに関わり、ビジネスモデルを作り上げます。
NDA(機密保持契約)を交わしてはいけない(チーム教訓)
最先端の技術や科学に関連する理論やモジュール(仕組み)でない限り、NDAを交わしてはいけません。
アイデアに価値はありません。
アイデアをもとに課題仮説と解決策仮説の検証を重ねて、磨き込まれた結果、PMFを達成して価値を生みます。
NDAはスタートアップとして資金調達をする際の足かせになります。
エンジェル投資家やVCの人間関係は紹介文化です。
話ができないと情報の受け渡しができ無くなりってしまいます。
NDA事項だから話ができないというのは、資金調達に悪影響です。
私はエンジェル投資家も知っていますし、VCやCVCで仕事している方たちにもよく知る方々がいます。
彼らの投資に関する情報の取り扱い方は、自分自身の体験と、周囲の現実を含めて、両方とも見ているのでよくわかります。
受託開発や業務委託を必要以上に受ける(チーム教訓)
本業が疎かになるので、長期受託開発や長期業務委託、手離れの悪い案件、等々を受けてはいけません。
本業に集中し、できるだけ早く本業からの売上を作るべきです。
但し、運転式資金を確保するための、短期受託開発やコンサルティングは已む得ないとも言えます。
因みに、本業は「継続的に使用したり消費したりするもので収益を上げるビジネス」または「定期購読や月額利用料や年間利用料で収益を上げるビジネス」のはずです。
「継続的に使用したり消費したりするもので収益を上げるビジネス」 はリカーリングビジネスと言われます。
「定期購読や月額利用料や年間利用料で収益を上げるビジネス」はサブスクリプションビジネスと言われます。
業界の専門家からのアドバイスに頼り切ってはいけない(チーム教訓)
全ての決断の責任はスタートアップチーム自身です。
自分たち、オーナーが最終判断を下します。
専門家の意見はあくまでも判断材料です。
ベンチャーキャピタル(VC)にアプローチしてはいけない(チーム教訓)
PMFを達成していない段階では事業自体の価値が低く、VCに多くの株式を少額で渡すことになります。
PMFを達成していれば、おのずとVCからアプローチがあります。
注力すべきはPMFの達成です。
ユーザーに価値をもたらさない仕事をしてはいけない(チーム教訓)
ユーザーに価値をもたらさない仕事に時間を費やしてはいけません。
やるべき仕事はPMFを達成るための仕事です。
チーム全員が、ユーザーが痛みとして抱えている課題の専門家になって、ユーザーに愛されるプロダクトを作る事だけです。
緊急度が高く、重要度が低い仕事(フェイク・ジョブ=嘘の仕事)に時間を割いてしまうと、PMF達成のための効率が落ちます。
スタートアップは最大効率で結果を出さないと、市場で淘汰されます。
フェイクジョブは、本当の仕事と比べた場合、簡単で楽しいものなので、ついついそちらに傾倒してしまいます。
体裁は気にしてはいけない(チーム教訓)
体裁は、最初にフォーカスすることではありません。
緊急度も重要度も低いです。
会社の場所、オフィスの見栄え、等々、体裁は一切気にしてはいけません。
スタートアップで忘れる去るべき常識
テストで100点満点を追求する常識を忘れろ
スタートアップの世界には、正解も解答方法も回答用紙も存在しません。
従って、100点満点をとることは目的ではありません。
自分達で、新しい問題を設定し、ユニークな解答法で、いくつもある中の一つの良い解答を見つけることが目的です。
上司にうまく報告した方が良いとする常識を忘れろ
スタートアップでは、ユーザーの課題仮説と解決策仮説の検証が最重要です。
上司へ上手く報告することで、評価や結果が変わるのは一般企業です。
多くの人から好かれようとする常識を忘れろ
スタータップで、自分を良く見せることや承認欲求は無駄です。
捨ててください。
PMFを達成する為に、課題の磨き込みと解決方法の磨き込みに専念することが最も重要です。
ユーザーに愛されるプロダクトを作る事に、すべてのエネルギーと時間を割けるようにしなければなりません。
PDCAを回して少しづつ改善する常識を忘れろ
スタートアップは資金と時間に限りがあります。
資金と時間が尽きたら終わりです。
機を見て敏に動くことが大切です。
一気にピボットしたり、機能を丸ごと変えたり、市場を変えたり、等々はスタートアップにとって常識です。
多数の競争相手の中で一番になる常識を忘れろ
スタートアップは資金と時間に限りがあります。
多数の競争相手がいる市場で、大勢と戦っている余裕はありません。
最初から広い市場を狙うゲームを忘れる
スタートアップは、ニッチ市場を独占することが最初の目標地点です。
競争相手の少ない市場を独占してから、周辺市場に手を広げるべきです。
予算消化の常識を忘れろ
纏まった資金を手にしても、PMF達成の為以外に使うのは無駄です。
大企業や公官庁の様な予算消化は忘れてください。
失敗を責任者や担当者のせいにする常識を忘れろ
重要なのは、「Who(誰)が失敗したか」ではなくて「Why(なぜ)失敗したか」です。
「なぜ失敗したのか」を徹底的に突き詰めて、チーム全体で学習し、知恵としなければなりません。
但し、責任の所在を明らかにすることは大切です。
まとめ
スタートアップビジネスは「0を1にする」人に向いています。
「ユーザー課題の秘密」を見つけて「代替策の無い解決方法」を提供し、「ユーザーの望む未来を齎す」ことを実現する取り組みです。
市場は存在は確認されていません。
課題も解決方法も、自分達で見つけ出すのです。
資金と時間に限りがあるために、無駄を一切そぎ落としてプロダクトを生み出し、一刻も早くPMF達成を成し遂げなければなりません。
一部の人が抱える課題をユニークな方法で解決する為に、ニッチ市場を独占することが最初の到達すべき目標地点になります。
スモールビジネスは「1を10にする」人に向いています。
「ユーザーの既存課題解決方法」を、「PDCAをこまめに回しながら少しづつ改善」して、「既存課題解決方法よりも良い策を提供する」取り組みです。
課題も解決策も既に存在しています。
既に市場が存在しているために、一定のユニットエコノミクス(事業の採算性)が見えているので、キャッシュフローはプラスで流し易く、時間と資金に余裕が持てます。
独立起業したい人は、その時までにできるだけ多くのことを真剣にやり、80点を取れたら次の新しい取り組みをする、というのを繰り返すと良いです。
100点を目指す必要はありません、80点を量産してください。
その結果、自分の特性がぼんやりと見えてきます。
「0を1にする」ことが向いているのか、「1を10」にすることが向いているのか。
自分はスタートアップをやりたいのか、スモールビジネスをやりたいのか。
初めて選べると思います。
実は100点ではなくて、80点を量産するというのは、別の大切な意味もあります。
これについては、別の機会に記事にしたいと思います。
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